Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の24年間の実践理論

運動会の徒競走に一工夫

徒競走編

これまでの徒競走

 一昔前は(私が小学生だった頃)、男女別で背の順で、スタンディングスタートで、練習から本番まで、ほぼ順位は変わりませんでした。だから、本番当日には、自分が何位なのか、すでに知っています。しかも、背の順なので、どこで区切られるかで、運命が決まります。

 

 時代は変わり、私が教員になったころは、男女平等社会の到来。

   出席番号も背の順も、男女混合になり、徒競走も背の順となります。

 

 さらに時代は進み、学校によりますが、社会的な風潮に影響され、いくつかの配慮を余儀なくされます。究極は徒競走を廃止。または速い子は速い同士、遅い子は遅い子どうしという配慮。そして、教育界は困惑。だって、どのような配慮をしたって、賛否両論ですから。

 

 

とりあえず私の考える現段階での徒競走の良い形

 まず、徒競走はやった方が良いということで話を進めます。並び順は、男女混合の背の順です。理由は、男女の運動能力は各種データから、小学生の段階ではほとんど差がありません。ただし、高学年になると男子の方がやや優勢となりますが、それでもわずかです。受け持ちの学年の状況によっては、男女別の背の順でもいいでしょう。

 背の順というのは、脚の長さに差がないということですから、パワーと回転数とフォームの戦いとなります。努力で結果が変わるので、チャンスが生まれます。

 

①特別な配慮は特別な子だけ。

 特別支援学級で、配慮が教育上その子にとって良い時のみ。

 

②練習では並び順を変え、目的を持たせ、個人の力を伸ばすことに特化。

 授業では何をねらっているのかにもよりますが、走るフォームを指導します。かっこよく走るお勉強です。並び順は本番までに完璧に覚えなくてはならないので、随時確認する必要がありますが、練習時には色々な人と一緒に走ると楽しいです。

 

③本番は名前をアナウンスしてもらう。

 1年生だけ名前を呼ぶという学校もあるようですし、大規模校では時間がないので、名前は呼ばないで、次から次へと走らせるというところもありますが、それほど時間がかかることでもないので、名前くらいはアナウンスすると、良いことばかりです。

 

④高学年はクラウチングスタート。

 実はスターティングブロックを使わなければスタンディングの方がタイムは速くなります。ですから、やるなら学校予算でスターティングブロックを買いそろえる必要がありますが、しっかりと教えるとスタート前から子ども達のかっこいい姿が見られます。 

 

さらに一工夫 

会議

  ある日、とても面白いことを思いつき、職員会議で提案してみました。

 

 徒競走の各組で、1位と2位の子は準決勝に進み、準決勝で上位3位の子は決勝に進み、決勝に出場した子には賞状をあげてはどうか。ただし得点には関係ないエキシビジョンマッチとし、準決勝や決勝については、各種目の準備時間を使う。

 

 これをやってみたい理由も説明しました。

 

 足の速い子たちは、徒競走の組の中でリラックスしすぎているが、選抜リレー選手決めの時の走りは、真剣そのもので、それだけでかっこいい。そのかっこいい姿を、是非、保護者の皆さんにも見てもらいたい。その学年で誰が一番速いのかを決める戦いになるので、緊張感がすごい。

 足の速い子ばかりが活躍するという議論もでるが、そのような場があっても良いし、従来の徒競走はあるので、プラスの活動になるだけだから大丈夫。

 

結果

 運動会は盛り上がったし、決勝の時の保護者の皆さんのみならず、全校児童の注目度もすごかったです。本番の徒競走では、背の順の運命により、本当は速いのに他に足の速い子がいるため2位となっていた子が、決勝まで進み全体の2位になり本人にとって実力が披露できる場ともなりました。準決勝・決勝での子ども達の緊迫した姿や真剣に走る姿がかっこよかった。

 

課題

 賞状を作るのがめんどくさかった。

 児童係の仕事との連携が不十分で、運動会の運営にやや支障が出た。

 職員からも保護者からも賛否両論だった。

(保護者からは良かったが多く、教職員は半々ぐらいだったかな~)

 

 

 成果と課題は両方ありますが、やってみなければ分からないので、やってよかったと思っています。ちなみに2年間続けましたが、3年目は学校全体が落ち着かなくなったのでやめました。落ち着いているなら、3年目もやりたかったのですが…。

 

 

(2020.5.30 加筆・修正)