自分でやったことは、自分で処理するまでサポートするのが愛情
修学旅行の1日目のイベントが終了し、ホテルに入りました。
夕食、お風呂を終え、子ども達が大好きな自由時間です。
もう、何度も修学旅行の引率をした経験から言うと、この自由時間を子ども達は楽しみにしているのです。もしかしたら、イベントよりも楽しいのかもしれません。
何して過ごしてるのかな~と思って、各部屋を訪問していたら、廊下で男子数名が寄ってきました。
「先生、大変です。A君が枕カバーを破りました!」
「うん? どういうことだ?」
「A君が、枕で遊んでて、カバーが破れたんです。」
「ほほう、結構破れたの?」
「はい、かなり破れてます。」
「そうか、それでA君は何してるの?」
「なんとかしようとしています。」
「なんとかったって、破れたんでしょ? なんとかなるもんかねえ~。ま、とりあえず部屋に行ってみよう。」
ということで、A君在籍の部屋に行ってみました。
すると、A君は部屋の中央に枕を片手に持ったまま立ち尽くしています。
「どれどれ、(枕を拝見) ひどいなこれは・・・。」
なんとかなるレベルではありません。完全に真っ二つぐらいに破れています。
「どうすんのこれ?」
と聞いてみましたら、
「なんとかしようとしているんですが・・・」
と言います。
「なんとかったって、こんなに破れていて、裁縫道具もないのに、どうやって何とかしようと思ったの?」
と聞くと、分からなくて困っているみたいなことを言って涙を流します。
「まあ、これはなんとかなるレベルではないけど、どうしてこんなことになったんだ?」
と理由を尋ねました。すると、
「僕たちが枕投げをしてて遊んでて、途中から枕でたたき合いになって、そしたら破れて・・・。」
まるで、まさかそんなことで破れるなんて・・・みたいな感じでしたので
「それは破れるに決まってるじゃないか。」
と、私の心の中では、少年達の無邪気さを微笑ましく思い、みんなで「どうしよう、どうしよう」と考えているのをかわいらしく思っていましたが、きっと素敵な思い出になるので、続けることにしました。
「他の人たちは何をやってたんだ?」
と、矛先を部屋のメンバーに向けます。
「僕たちも一緒にやってました。」
「なるほど、じゃあ、A君だけの問題じゃないってことでいいな?」
「はい、僕たちも悪かったです。」
少し輪の中に入っていなかったC君のを見つけ
「C君はやらなかったのか?」
と聞きましたら
「僕は、今来たばかりで、関係ありません。」
と言います。でも、せっかくだから仲間に入れてあげることにしました。
「関係ありませんじゃないだろう? だって、今この部屋にいるんだから、君も同罪だ!」
「えーー、なんで?」
「なんでじゃないよ。仲間だろう?」
みたいな、でたらめな理屈をこねて、
「とりあえず、どうにもならないから、ホテルの人にみんなで謝っておいで。A君が謝るから、みんなもサポートするんだぞ。」
「はい、分かりませした。」
C君「ぼくも行かなくちゃ行けないんですか?」
「当たり前だ!」
ということで、みんなでフロントに謝りに行く様子を隠れて見ていました。
みんなでしっかりと謝って、許してもらっていたようなので、終わってから私も謝りに行きました。
そして、
「みんなで謝りに行って、許してもらって、良かったね!」
と一緒に喜びました。
この子たちが大人になってからも、この出来事は思い出されるかもしれないな~と思うと、心温まる気持ちになりました。