子育てで目指す最高峰の場所は、子どもを「安定型」と呼ばれる場所に導くことです。これは愛着の問題なのです。多くの育児書が示す到達点になっているので、どの本を読んでも同じ方向を示しています。
ですから、以前の記事で、そのようなことを書きました。
よく分からなくても、育児書通りにすれば、悪いことにはならない
ところが、良いと分かっていても出来ない本当の理由については、分かっていませんでした。それが、さっき、ついさっき、突然分かったので、忘れないうちに書き残すついでに、ブログというツールで必要な人にお裾分けします。
「安定型」の子どもの特徴
これがキーワードになります。安定型の子どもはどんな子どもなのかについての理解が不十分でした。不十分というか、私は知っているのですが、多くの人は知らないということに私は気づいていなかったという理解が不十分だったのです。
そこで、まずは安定型の子どもの特徴を思いつくままに書きます。
【3歳ぐらいまでの子ども・・・・小学生くらいになると】
①安定型の子どもは恐がり → 怖いときは怖いと言える子
②安定型の子どもは寝ない → 寝る子になる
③安定型の子どもは言うことを聞かない → 聞く子になる
④安定型の子どもはだっこをしもらいたがる → だっこは必要なくなる
⑤安定型の子どもは話を聞いてほしい → 話を聞ける子になる
⑥安定型の子どもは所有したがる → 人に分ける子になる
⑦安定型の子どもは自分でやりたがる → 自立する子になる
⑧安定型の子どもはなんでも触る → 大切に触る事を覚える
⑨安定型の子どもはこだわる → 集中できる子になる
⑩安定型のこどもは愛をほしがる → 愛を与える人になる
まだまだありますが、この辺でやめておきましょう。これぐらいあれば次の説明には十分ですから。子どもらしさの特徴が全て出ると思えば分かりますしね。
上記のことから私がお伝えしたいことは2つです。
1つ目は、目指すべき「安定型」の子どもは、3歳ぐらいまでは、手がかかる扱いにくい子だという事実です。これを一般的には「イヤイヤ期」とか「第1次反抗期」なんていう言い方もします。
2つ目は、育児というのは3歳までが勝負だという事実です。厳密には6歳までと言う見方もできますし、10歳までという見方もできます。でも、3歳までが最重要であることには変わりありません。「三つ子の魂百まで」という諺もありますから。
つまり、3歳までに「安定型」の特徴がでればいいのですが、その特徴がでたら親は困っちゃうという事実があるということに気付きました。だって、扱いにくいのですから。
それで、頭では理解していても、そういった扱いにくい状態を親は嫌がります。
その結果、きちんと言うことを聞く子に軌道修正しようとするのです。
それはすなわち、安定型ではない状態のこと。一般的には「回避型」とか「不安型」と言いますが、その状態に戻そうとしてしまうのです。たとえ育児書通りにやって、安定型に向かったとしても、安定型の状態を嫌がるから、続けることは困難だということでしょう。
「安定型」は「安定型」にしか育てられない理由
まず、大前提として、人は自分の持っていない者は与える事ができません。
ごく簡単な例を物で示すと、100円持っている人は100円までは与える事が出来る。100円持っている人が1000円与えるときには借金しなければいけない。
心の世界では、この借金はストレスとなるでしょう。
安定型の人は、扱いにくい安定型の特徴に対して、「いいね!」と思えるのですが、それ以外の人にとっては扱いにくいので、「なんとかしなくては」となります。
私がこれまで読んできた育児書には、どうもそのあたりのことが書かれていない。
「こうやればいいんですよ」と示してはいるのですが、どうして出来ないのかについては解説されていないのです。
今は、昔よりも情報が溢れている状態です。
育児に関することで、知ろうとすれば、書籍やネットで良い情報も溢れています。
それなのに、なぜ、これほどまでに世の中は愛着不足児童を増やしているのかという疑問が出てきます。「安定型」の人は、おそらく今も昔も、それほど割合は変わっていません。では、それ以外の人が増えたのかというと、それも割合は変わらないでしょう。
ただ、変わったのは、寄り方が極端になったのではないかというのが私見です。
例えば「不安型」という場所にいる人だって程度問題があります。また、ジャンルもあるでしょうね。「不安型」だから悪いって事もなくて、そのおかげで活躍できることもたくさんあるし、そもそも「安定型」の人は少ない。若干「不安型」にいる人が、極端に寄り始めているのではないでしょうか。その理由も理解していますが、長くなりそうなので、今回は省略します。
まとめると、次のようになります。
1 安定型の子に育てるのは、安定型の扱いにくい特徴を「いいね!」と思えないと難しい。
2 そう思えるのは、安定型の親。
3 安定型の親は少ない。
4 でも育児書で勉強して努力すれば可能になる。
5 でも、扱いにくいので、戻ってしまう。
6 だから、不可能ではないけど、安定型の人にしか安定型は育てられない。
付け加えると、安定型の親は、その世界観が本人の中では普通なので、扱いにくい子どもの状態を、そもそも扱いにくいとは思っていないのです。だから、素敵なお子さんをもつ母親に
「素敵なお子さんですね。どんなことを気をつけているんですか?」
と聞くと、たいてい
「何もしてないんですけどね。」
と返事が来ます。本人の中ではそうなのでしょうね。
さらにややこしくする問題
上記の問題に加え、さらにややこしい問題があります。このことも理解しておかなくてはうまくいきません。それは、実践と結果には必ずタイムラグが生じるという事実です。育児書通りやったらすぐに効果があったということもありますが、たいていは実践と結果までに時間がかかります。
この時間がかかるという現象を我慢できるかどうかということについても、育児書にはあまりかかれていません(たまに見かけますが、強調されていません)。
でも、タイムラグを知っていれば、我慢できるかもしれませんね。
もっとややこしい問題
これで完結します。それは、社会現象としう視点です。
「総バッシング時代」の到来です。こういうネーミングがあるわけではありませんが、簡単に言うと、何でもかんでも、みんなで他人の事をつべこべ言うことが、何故か許されている社会風潮になってきているのです。
そして、そういうことを言う人は、不平不満を常に言っている人で、実は、世の中の人たちが全員言っているわけでもないのですが、言っているように感じやすい時代に入りました。
安定型の親は、そのような意見に動じませんが、それ以外の親は攻撃を受けます。
昔よりも攻撃力が高まっているという社会現象なので、
①扱いにくい子どもの状態をさらに扱いにくいと感じやすくさせられている。
②逆に、きちんとしている状態を褒められる(本当は逆)
というわけの分からないことが起きやすいのです。
まとめ
安定型に育てるのが難しい本当の理由は
1 安定型の特徴を扱いにくいと感じてしまう。
2 やろうとしてタイムラグが生じてしまう間に我慢できずに戻ってしまう。
3 社会がうるさい(総バッシング時代)。
この3つが絡み合っています。
「安定型」に育てるのは難しいと理解した人は「安定型」に育てることを可能にする。
人材育成の時にも同じようなことを主張しましたが、やっぱり物事の本質は基本的には同じでシンプルです。
私は「安定型」に育てるのは「安定型」の親にしかできないと書きましたが、一般論としてはということです。だって、持っていない物は与えられませんから。
でも、不可能ではないというのが本当の主張です。
そして、難しいということを理解すれば、可能になります。
かなり難しいけれど、そして完璧にやる必要も無いのだけれども、さらに自分が出来る範囲で進めばいいだけなのですが「難しいということを理解するといいですよ」とオススメします。