Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の24年間の実践理論

「困らないように」すると「困るようになる」

困るようになる

 我が子には、将来困らないようにしたいとたいていの親は願うようです。

 

「勉強しないと将来困るよ」

「きちんと整理整頓できないと将来困るよ」

「お友達と仲良くしないと将来困るよ」

「だらしない生活をすると、将来困るよ」

「なるべく良い高校とか大学に行った方が将来役に立つよ」などなど。

 

 でも、本当は困りません。

 それ相応に生きていきますから。

「あなたが困らないように言っているのよ」というのは、本当は

「私が困らないように言いたいから言っているのよ」と言っているのです。

 ですから、「自分で考えるから、邪魔しないで!」という思春期を迎える子は大丈夫です。力強く生きていきます。

 問題は、親の言いなりになって、親の言うとおりにして、それが正しいということにして生きていくことです。

 

 もう、当たり前すぎることを2つ書きます。

 

 1つ目は、子どもの人生は子どものものだということ。

 2つ目は、子どもは、本当は今を楽しんでいるだけだということ。

 

 それで「困らないように」と先を見通してなんでもやってあげたり、何でも言うことを聞かせようとしてしまうと、「僕は力のない人間なんだ」という自己否定感を植え付けていきます。長い年月をかけて植え付けます。そして、「自分で選んだら失敗するんだ」ということも教えてしまいます。おおよそ、自立とは逆方向の人へすくすくと成長していきます。

 そうして、本当に困ったときには、もうどうすることもできません。

 

 子ども達につけたい力は、「困らないようにする」のではなく、「困っても自分の力で乗り切れる力」をつけることです。もう少し詳しく言うと、困ったことから派生する「悩み」とは、成長にとって大きな要素なんです。だから、悩みというのは、全然悪くなんてなくて、成長のために必要不可欠な要素なんです。

 

 賢人たちの名言集にも、そういう真理がありますので紹介します。

 

「逆境が人格を作る。」 トルストイ(ロシア)

「人間が大きな進歩をするための道は、いつも苦しみによって開かれなければならない。」 カール・ヒルティ(スイス)

「外部からの援助は人間を弱くする。自分で自分を助けようとする精神こそ、その人間をいつまでも励まし元気づける。」 スマイルズ(英国)

「困れ。困らなければ何もできない。」 本田宗一郎

 

 このような話を保護者にすると、たいていは受けが悪いです。

「言ってもやらないのですから、言わなかったら恐ろしいことに・・・。」

 という具合に反論されます。

 でもそれは、子どもの人生を自分の人生だと勘違いしているのです。

 最低限度の躾などは必要ですし、親の生き様を見せるということも必要です。

 でも、最終的には子どもが自分で選びます。

 私が言いたいのは、「あなたの将来が困ることになるわよ」とは言わない方がいいですよということだけです。困りませんから。そして困ってもいいのですから。

 あっ、放任しても良いということではないですよ。

 放任はダメです。

 

 放任したら、子どもは本当にさまよってしまって、SNSで知らない人の家に家出してしまいます。または、かまいすぎたり押しつけすぎたりしても家出してしまいます。

 

 

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