Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の24年間の実践理論

嬉しさを分け合う子に成長するために必要なこと

分け合う子

(2019.11.06 子育て「所有」をリライト)

 優しくて思いやりのある子、みんなから愛される子になってほしいと親は願います。その中の1つである「嬉しさ分け合える子」について書きます。その具体例として、きょうだいを持つお子さんを持つ親なら、必ずと言っていいほど遭遇する問題である「所有」に関して考えてみます。玩具の貸し借りからおやつの奪い合いなど、日常茶飯事である現象を解決できるかもしれません。

 

 

お姉ちゃんのものがほしい

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3歳の娘は、必ずお姉ちゃんのものをほしがります。

これは、仕方のないことです。

妹は、お姉ちゃんのものが欲しいのです。

物は何でもいいのです。

お姉ちゃんが持っていると欲しくなるのです。

 

これがお家の中で起きているだけならば、さほど気にはなりません。

(ひどい場合はなるでしょうけど。)

 

ところが、外やお友達が来たときに、そのような状態になると

「うちの子はわがままだ!」

「おもちゃを貸さないなんて、心の狭い子になっている!」

「自分では食べられない量のおやつの袋をもっているのに、けちんぼに育ってる!」

「そんな風に育てた覚えはない!」

 

とまあ、こうなります。だけど私は、それは必要な経験だという考えなのです。

少し深く考えてみると、次のような本質的な答えが見えるからです。

 

所有していなければ分け合えられない。

 

お金を持っていない人は、あげられないし、お腹が減っていて、さらに食べ物がない、自分が飢えているのならあげられない。

 

「いえ、そんなことはありません。自己犠牲という美徳があります。」

という声が聞こえてきそうですが、まずは自分が基本です。

借金をしてまで貸すことや、自分は飢え死にしても人のためなんていうのは、美徳が過ぎます。過ぎる美徳は、すでに美徳ではありません。

 

ですから、分け合えられる人は、まずは自分が持つことです。大人でもそうなのですから、3歳ぐらいだと、ますますそうでしょうね。 

だから、いっぱい所有して、自分が満足して、嬉しくて、自己肯定感が高まると、他の人にも、この喜びを分けてあげたい、自分が嬉しいから、みんなにも嬉しさ分けてあげたいと思うのです。

  

お姉ちゃんのおやつを無事に確保した3歳のチビ姫は、そのおやつはお姉ちゃんのものだというのに、すっかり自分の物にして、

「ひとつあげるね」とか「もっとほしい?」とか、上機嫌で分け与え始めます。

 

そんな時、お姉ちゃんはたいてい、

「それ、もともと私のだからね!」

と、笑いながら怒っています。

 

 

所有は自然な感情 

所有したいという小さな子の思いを楽しみながら育てると、必ず人と分け合える喜びを学びます。なぜなら、自分が持っていることは嬉しいことだと学ぶので、人も嬉しいだろうとなるからです。

 

けちな人ってね、たいていは、持っている物を無理矢理奪われた人です。

無理矢理は言い過ぎかも知れませんが、強制的に分けることを強いられた人です。

強制的も言い過ぎかも知れませんが、それが優しさだと言われた人です。

このあたりだと、納得できるかも知れませんね。

 

人は奪われるから守りたくなるのです。

奪われたらなくなるという経験をし続けた結果、けちんぼになるのです。

 

小さな頃から、自分の意志で分け合うことの喜びを経験し続けると、やがて本当に理解し始めます。何を理解するのかというと、自分一人が嬉しいよりも、みんなで嬉しい方が、結局は自分の嬉しいという気持ちは大きいということをです。

 

嬉しさを分け合う子に成長してほしいのなら、十分に与え、そして受け取り、他者が喜んでいる姿をたくさん見せて経験させることです。

おやつを与え、お母さんがもらい、とっても嬉しいということを繰り返し経験させるのです。決して奪わず、子ども自身の意志を尊重することがポイントです。

おもちゃを与え、一緒に遊び、楽しいと伝えることです。貸してと言われれば貸し、お母さんもたくさん貸してもらうことです。お母さんは「ありがとう」を言うために貸してもらうのです。

 

本来、人は十分に満たされたときには、それを周りに配りたくなるものです。

そして自分の周りに嬉しさを見た人は、さらに嬉しくなるものです。

自分が十分に満たされたいというのは自然な感情です。

分け与えるために満たされたいが真実です。

 

 

花の香りのように

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 花は素敵な香りがします。

 その香りは、風に乗って周りに広がります。

 その香りに触れた人は、つい嬉しくなってしまいます。

 きっと、嬉しくなった様子を見た花は、さらに嬉しくなるでしょう。

 

 どんなに良い香りだとしても、風によって周りに運ばれなければ、その香りは凝縮され、やがて花自身にも耐えられないほどの臭いとなり、花自身も苦しめてしまう香りになってしまうことでしょう。

 

 

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