Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の24年間の実践理論

地下メンズアイドルの推し

 数年前、地下アイドルというメジャーを目指す女性アイドルの報道番組を観たことがありましたが、最近になって地下メンズアイドルという報道番組を観ました。しかも、事件としてです。事件の概要は、地下メンズアイドルを推す女性が何らかの被害に遭って、逮捕されちゃいました。「もー、なんだかなぁ~」というぼやきみたいな記事です。

 

「推し」って何?

「推し」と「応援」、あるいは「ファン」はどうちがうのかな?と思って、聞き取り調査をしたところ、簡単に言うと「猛烈な応援」という結論に至りました。

 では、猛烈な応援とは何かというと、どうやらSNSで投稿したり、イベントに参加したり、関連グッズを購入する活動だそうです。

 報道番組では、事件を受けて「地下メンズアイドルの実態調査」をしていましたが、おおよそ次のような内容です。

・地下メンズアイドルは、メジャーデビューを目指して活動している。

・副業としてアルバイトやカフェ経営としている人もいる。

・ファンは、その距離の近さに惹かれて応援をしている。

・イベント後、プロマイド写真(1枚1,500円)を購入すると、5分間、めっちゃ近くでお話できた上に、ツーショット写真を撮ることができる。

・その結果、一時的、擬似的ではあるが、恋人気分を味わうことができ、胸がキュンキュンすることが可能。

・ある主婦は、一ヶ月に40万円を投資することもあるらしい。

 

 要は、お金と労力をかけて応援することが「推す」ってことかしら?

 

 

「応援」そのものは、清く美しいものです。

 部活動の応援などはその典型で、応援したくなります。

 

 

 何かに一生懸命な人も応援したくなりますよね。

 だから「応援」そのものには問題は見当たりません。

 では、これはどうでしょうか?

 これもね、実はそれほど問題にはなっていません。

 CD購入のあかつきには、握手できますよカードをもらえるシステム。

 お話とか握手までならOKってことかな?

 あるいは、CD販売とプロマイド写真の違いかな?

 要は程度問題ということでしょうが、同じようなことをしています。

 だから、ある一線を越えると大問題になりますよってことでしょう。

 その一線が「お金」と「心」と「身体」かな?

 この状態に至る過程が問題なのでしょうね。

「あんなに貢いだのに~!」という感じかな?

 

ホストクラブと同じ

 今回の事件に関連して、地下メンズアイドルの活動の実態を調査していましたが、悪質だと指摘されていたのは、まだ自己判断能力が乏しい未成年にシャンパンを注文させたり、未成年だと分かっているのに飲酒を止めなかったりすることが違法だというものでした。

 未成年だから問題で違法であるというのはそうなのでしょうけれども、それでは今回の問題点をずらしています。未成年でなく、成人ならOKってことになりますから。

 仮に、違法性だけを問うのなら、「ホストクラブの形が少し変わっているだけですよ。」とか、「普段はアイドル活動をしていますが、バイトとしてアイドルホストクラブを経営していますよ。」と宣言して、きちんと法律の範囲内で経営すれば問題のつけようがありません。

 ですから、今回の報道でなんとなく否定しようとしているのは「アイドルなのにお金を巻き上げちゃっていいの!?」みたいなことです。「女性の心を弄んでけしからん!」みたいな構図が美しくないのでしょうけれども、先に述べたように、アイドルのファンというのは、男性だろうが女性だろうが、そもそもお金が絡んでいて、そういう類のものです。

 普通にグッズなどを購入するのは全く問題ありません。また、身近かさを売りにしてグッズを販売するのも問題ないでしょう。疑似恋愛商法だって、これまでさんざんやってきているわけですから、今更問題にするのはおかしいでしょう。

 ですから、やっぱり問題は「違法性」だけだとして、それが「未成年」ということなのでしょう。「未成年による過剰な推し活動」というものが一線を越えてしまっていて、それに目を付けて搾取しているっぽいところが悪質であり、アイドルとしていかがなものか・・・ということかな~。

 

「推し」に夢中がそもそもの問題

 誤解の無いように申しあげますが、私は「推し」そのものは否定していません。本人が納得して楽しんでいるのなら問題はないでしょうし、それが必要な人にとっては必要でしょうから。

 ただ、なんでも過ぎると害になるのです。

「夢中」というのは夢の中に在ること。夢を見ているのです。お金を払って夢を見ているのですから、それはそれでいいのです。夢であると分かっているのなら問題ない。でも、それが全てになるくらいに過ぎ、夢と現実がごっちゃまぜになると問題がたくさん出てきます。

 これを世間では「依存」と呼んでいます。「依存」と「逃避」はセットです。「依存」の対極は「自立」です。

 我が子が「推し」に夢中過ぎる未成年である場合、何かに逃避し、依存状態であると認識しましょう。今回の事件の加害者になっている人にひっかからなくても、「依存状態」であることには変わりがないので、違う誰かにひっかかります。今回はたまたまその人であったというだけです。

 もちろん、加害者を擁護するつもりはありません。法律に触れないとか、そういう問題でもなく、アイドルを目指すのなら、アイドルらしく活動した方がいいんじゃないかな?というぐらいです。

 加害者も被害者も、どちらにとっても切ない物語だから、報道としてはきちんと取り扱ってほしいな~というつぶやきでした。

 ぜひ、こういう人を推してください。「推し」によって得られるものもなさそうですが、問題点も一切見当たりません。